Abstract | 1. はじめに 生体の血圧は昇圧系と降圧系の均衡のもとに維持・調節されている. したがって, 高血圧は, 昇圧系の活動亢進あるいは昇圧物質の過剰状態ばかりでなく, 降圧系の活動低下あるいは降圧物質の欠乏状態といった降・昇圧両系の不均衡状態で生ずると考えられる. この小文では, 血圧調節因子として最近重要視されている腎におけるkallikrein-kinin系(KK-K系)の役割と他の昇圧・降圧系, とくにrenin-angiotensin-aldosterone系(R-A-A系)とprostaglandin系(PG系)との相互関係を概説し, 最近われわれが興味を持っている二, 三の実験的・臨床的資料を示し, KK-K系の高血圧および脈管系における意義を中心に述べてみたい. 2. Kallikrein-Kinin系-血漿kallikreinと腺性kallikrein 哺乳類ではkininは3種類あり, アミノ酸9, 10, 11個から成り, それぞれbradykinin, lysylbradykinin(lys-bradykinin, kallidin)およびmethionyl-lysyl-bradykinin(met-lys-bradykinin)とよばれる(図1). |