Abstract | はじめに 超音波診断法は, 今日各種領域において日常検査法として広範に用いられている. 循環器領域においては, 心電図, X線, RIなどの検査とともにルーチン検査のひとつとして普及してきている. それは, かつて一部の熟練者によってのみ心エコー図記録が可能であったのが, 機器の改良, リアルタイム断層心エコー法などの新しい方法の登場により比較的容易に心エコー像を描出して観測できるようになったことによる. 従来から, かかる超音波分野の研究発表の場のひとつとして日本超音波医学会があるが, 1981年11月第39回研究発表会を通覧しても全演題の約三分の一の93の演題が循環器に関連したテーマで, しかも数多くの症例を統計的に検討した内容のものがしだいに多くなってきつつあり, また内科ばかりでなく小児科や外科側からの検討報告も増加してきている. 5年前の第30回発表会のころには, 各種心疾患の比較的少数例についてのMモード心エコー図(UCG)所見を検討し, その特徴抽出あるいは血管造影法との対比などが主たる内容であったことを思えば, 心エコー法が方法自体の工学的進歩とともに, 臨床適用の範囲・精度が拡大した様子が知られるであろう. |