Abstract | 「はじめに」1978年Fujiwaraは活性度のきわめて高い人工サーファクタントの開発に成功し1), 秋大病院ICUにおいて臨床使用が行われた2). 未熟児PDAはそれに伴う一連の呼吸管理中に発生した問題である3). 今回は未熟児PDA結紮術の麻酔について, 自験例を中心に報告する. 「1. 未熟児PDAの特徴」胎生期には肺を灌流する血液はごく少量で, 右心房に集まった血液の大部分は卵円孔および動脈管を通って左心系ヘバイパスされる. 出生に伴う肺呼吸の開始とともに肺血管抵抗は減少して肺循環が始まり, 動脈管は自然に閉鎖する. しかし未熟児では動脈管の生理的閉鎖機構が働きにくく, またRDS(未熟児呼吸窮迫症)や呼吸不全のある症例では肺胞は虚脱しており, 低酸素血症の存在と相まって肺血管抵抗は高く保たれ, 動脈管を介する逆シャント(肺動脈→大動脈)が遺残する. いわゆるPFC(胎児型循環遺残)である. RDSに対して人工サーファクタントが投与されると虚脱していた肺胞が開き, 一般状態が著しく改善されるとともに肺血管抵抗が低下し, 今度は逆に開存していた動脈管を通して大動脈から肺動脈へと大量の血液がシャントしてくる. |