Abstract | 手術手技, 麻酔法, 体外循環の進歩, 心筋保護法の応用など開心術中の管理の進歩は近年著しいが, またそのため適応範囲が, 高齢者, 重症候に及ぶこともあって, なお術後の低拍出量症候群1)(low output syndrome::LOS)の発生は減少せず, 術後管理の面で種々の対策を強いられている. そこで, 今回これまでの管理内容を分析し, 今後の治療成績を向上させるため, 主として1981, 1982の両年に本学で行われた冠動脈疾患を含む成人開心術症例を中心に, LOSについて種々の面より検討を加えた. なお, 資料の推計学的処理は, 各群間の比較はunpaired t-test, 同一群間の比較はpaired t-testにより行った. 症状ならびに治療経過から主治医によりLOSと診断された症例について, その発生率を1977, 1979の両年の症例と合わせて比較した. 各年度の発生率に差は認められず, 開心術症例の30%前後である. また先天性および後天性心疾患についての発生率を, 1981, 1982年の開心術症例259例についてみると, 先天性は, 118例中30例(25.4%), 後天性は141例中48例(34.0%), と両者間に有意差は認められない. |