Abstract | 「1. はじめに」近年, 開心術や大血管手術など心臓外科の進歩はめざましいものがあるが, その要因は手術方法, 人工心肺, 麻酔管理などの発展によるものである. 心血管手術の麻酔に関しては, 麻酔法や麻酔薬の選択が各施設で異なり, それぞれ独特な開発がなされている. そこで本シンポジウムでは, 6施設における麻酔方法の特徴について報告して頂き, その後で各演題に対する討論をお願いし, さらに現時点における具体的な話題の討論をお願いすることにした. 「2. 自験症例の紹介」各演者の発表に入る前に, 心血管手術の麻酔方法の現況について述べてみた. 本邦の全国的な集計を得ることはむずかしいので, 僭越ながら司会者の施設における現況を報告した. (表1)は東京女子医科大学麻酔科において昭和57年の丸1年間に行われた麻酔症例を示す. 全麻酔症例5,930例のうち心血管手術麻酔症例は558例9.4%であった. この558例の麻酔方法をみると, 導入麻酔ではフェンタニル46.8%, ハロセン20.1%, モルヒネ12.0%の順に多く, この3つだけで78.9%を占め, また維持麻酔ではフェンタニル46.4%, モルヒネ21.9%, ハロセン18.6%の順に多く, この3つだけで86.9%を占めた. |