Abstract | 「はじめに」Brecher, G.A. (1956)1), Cournand, A. (1948)2), Guyton, A.C. (1963)3), GaUer, O.H. (1954)4)などの循環生理学者により, 静脈還流venous returnの循環生理学的, とくに血行力学的追究がなされ, 左心機能特性に基づいた心拍出量に対応して, 閉鎖系循環動態におけるfeed back機構としての右心系を介する静脈還流の概念が, 臨床の分野にも広く導入されるに至った. 静脈還流機構への影響因子(たとえば呼吸などによる変化)が腎循環, すなわち腎内血流動態に微妙な変動をもたらし, 腎機能の特異的変化をもたらす機序について種々の観点からの研究成果が報告されている5〜28). Gauer, O.H4). は体液循環としてのvenous returnと胸腔内圧, そして静脈還流のモニターである心房壁伸展受容器と腎循環, 中枢神経機能および内分泌機構と静脈還流などと関連したきわめて広範な静脈系(低圧系)循環動態の循環生理学的特異性について解説し, 人工呼吸, 酸塩基平衡, 循環血液量, 中心血液量, 中心静脈系血行動態など多くの臨床的因子を背景に詳細な基礎的ならびに臨床的研究を行った. |