Abstract | この十数年間に麻酔, 手術中の生理機能の変化を連続的に表示出来るmonitorが著しく進歩し, その所見により処置が行われるようになった結果, 患者管理が合理的に行われ, 手術治療の向上が得られてきている. 麻酔, 手術中の患者管理としての基本的事項は, 各臓器, 組織細胞の活動に必要な十分な血流が供給されていることであることは今日でも変わりがない. 話は古くなるが, 昭和20年代前半は, 手術中の患者の一般状態を知るものとしては, 術中看護婦か若い外科医が, 患者の脈を触れていて, 変化があれば, 術者に報告する程度のものであった. 昭和25年以降, 吸入麻酔器が普及し, 呼吸が人為的に補助される状態下で手術されるようになってからは, 脈拍数, 血圧を5分ごとに測定し記録し, 血圧下降が起こると麻酔深度を浅くしたり, 輸血, 補液を出血量の推測のもとに行い, 血圧を維持することに努めるのが普通となった. 当時開胸手術が次第に普及し, 胸部食道癌の手術が行われ始め, 私もたびたびその麻酔に関与したが, 純酸素に近いガスで患者換気を補助し, 輸血を必要量行い, 術中の患者血圧, 脈拍の変化を最少限にするように努めた. |