Abstract | 「答」心エコー図はその非侵襲性, 簡便性, 反覆性といった特微を生かし, 今や心臓病の臨床に欠かせない診断法となりつつある. しかし超音波の特性上, 心エコー図検出には限界があり, 慢性閉塞性肺疾患や肥満などのごとく前胸部と心臓との隔たりの大きな症例では, 従来の超音波投入法では困難なことが多かった. この解決策として, 食道内心エコー図(Transesophageal Echocardiography:TEE)がFrazinら1)により開発された. その後TEEの応用も拡まり, 最近では術中モニターとしてその有用性を示唆する報告4〜7)もみられるようになった. 心臓と食道は解剖学的に近距離に位置し, その間には骨や肺などの障害物が介在しないから, 従来の前胸部から投入する心エコー図(ant. Echoと略)と異なり, TEEでは大きなecho windowが得られる. このためTEEの利点として, ant. Echoでは困難であった右室流出路, 左室前壁および両心房動態の分析に適していることや, 大動脈基部, 大動脈弁, 左室後壁, 僧帽弁逸脱状態, さらには右心系の観察に有用であることか知られている. |