Abstract | 「はじめに」「脳外科の麻酔」を主題とした討論は過去の関連学会でも開催されたことはなかった. 一方, 過去10年余の脳外科領域の進歩は著しく, 麻酔管理もよく対応して長足の進歩を遂げた. このような意味から第5回循環制御研究会で本主題を中心に討論の機会をもったことは真に意義深いと考える. 本稿は時間的制限もあり果たすことができなかった司会者のコメントをまとめたものである. (1)頭部外傷 千葉県救急医療センターは立地条件のため取扱った頭部外傷例はきわめて多く, 今回は240例の経験をまとめたものである. 病態, 経過からみて, 頭部外傷には麻酔科的全身管理を必要とする場面が多い. 2次的脳損傷予防のため, 気道確保, 人工呼吸, 頭蓋内圧(ICP)管理と脳保護の目的でバルビツレイト投与などはルーティン化されている. 気管内挿管は一過性であるが血圧上昇, ICP亢進をもたらし, 脳灌流圧を減少せしめる. 導入, 挿管時の血圧, ICPコントロールにthiopental 3mg/kgあるいはlidocaine 1.5mg/kgをbolus投与してよい結果を得たという報告1)がある. |