Abstract | 歴史の古い薬である. 1959年に冠血管拡張薬として登場し1), 心筋への酸素供給改善の目的で広く用いられた. 今もなお主要病院薬剤部の医薬品在庫リストには「冠拡張薬」のカテゴリーに分類され収載されていることが多い. 20余年の歴史はジピリダモール「ペルサンチン(R):dipyridamole:2, 6-bis(diethanol amino)-4, 8-dipiperidino-pyrimido(5, 4-d)pyrimidine, 図1」の評価と用途を変えたように見える. ペルサンチンの商品名で親しまれたこの薬を単なる冠拡張薬ないし心筋血流増進薬と考えている人は今日では少ないと思うが, さりとて作用態度や臨床的位置づけが正確に理解されているかというとそうでもなさそうなので, 現時点での著者の考え方をまとめてみた. ジピリダモールは体循環系の抵抗血管を拡張させるが, 冠血管ではとくに著しい. 0.5〜1.0mg/kgの静注で冠血管抵抗は1/3〜1/4に低下する2). 著明な冠拡張作用があるにもかかわらず, この程度の投与量ではふつう大動脈圧の下降は軽微で, 冠血流量は著明に増加する. |