Abstract | 小児期はいろんな疾患が最も純粋なかたちで観察できる時期ということができる. 今問題になっている心筋炎にしても, 成人では高血圧とか冠動脈硬化症による修飾を常に念頭におかねばならないし, またどこまでが心筋炎による障害かを決めるのは困難なことが少なくない. しかし小児では, 純粋に心筋炎だけの経過として観察できることが多い. 一方特発性心筋症はいわゆる難病の1つとして知られ, 名のごとく原因不明の疾病で, 肥大型と拡張型に分けられ, また家族性のものと非家族性のものとがある. しかし最近は特発性心筋症のうちかなりの症例はウイルス性あるいは特発性心筋炎のなれの果てではないかと考えられ始めている. われわれは特発性心筋炎を臨床経過より図のように分類している1). 急性激症型はいわゆるFiedler型と呼ばれるもので, 新生児と老人に起こりやすい. 死亡する例が多いが回復する例もある. しかしこのような乳児の流行性心筋炎の中に心筋間質に線維増殖がおこる例があることはすでに1947年にStoeber2)により記載されており, またBengtsson3)らは, 急性心筋炎が疑がわれる例を5年間追跡し, そのかなりの例に心拡大, working capacityの異常を認め, 心筋炎の後遺症が少なくないことが認められている. |