Abstract | 「はじめに」手術適応の拡大につれて, 心臓に基礎疾患を有する患者, あるいは過去に心臓手術を受けた患者が非心手術を受ける機会が増えている. これにともない, 麻酔管理上興味ある症例に遭遇する. そこで今回われわれが経験した重症心疾患を伴った非心手術症例7例の麻酔管理上の問題点をあげ, 若干の考察を加えて報告する. 「症例ならびに術前評価(表1, 2)」表1のように対象は42歳から76歳までの男性5例, 女性2例である. そのうち症例1の患者は2回手術を施行された. 症例の術前評価としてGoldmanの提唱したCardiac risk index score1)を利用し, そのclass分類を通常のphysical status分類とともに表2に示した. 「麻酔法ならびに術中管理法」全例で手術室入室後観血的動脈圧を測定し, 又肺動脈カテーテルを挿入し必要に応じ測定し, 循環動態の把握に努めた. 麻酔法は, 主にフェンタニールあるいはモルヒネとデイアゼパムを用いたバランス麻酔で行った. 担当外科医とあらかじめ患者の基礎心疾患について検討し, 協力をお願いした結果, 麻酔時間に比べ手術時間は比較的短いものとなった. |