Abstract | 「はじめに」vasoactive intestinal peptideあるいはpolypeptide(VIP)は1970年, Saidらによってブタの小腸から発見され, 構造は図1に示すように28個のアミノ酸からなり, グルカゴンやセクレチンと類似している. また, 螢光抗体法などにより消化管のみならず体内に広く分布していることがわかった. 代謝は主として肝臓で行われ, 血中半減期は約1分である. 現在までに報告されている循環系に対する作用としては血管拡張作用, 血圧降下作用, 陽性変力作用および陽性変時作用がある. 従って, β受容体刺激作用と似ているが, 最近になりVIPは非アドレナリン・非コリン作動性線維の神経伝達物質として重要視されるようになり, 血管や心臓に対する作用もVIP受容体を介する作用とする可能性が示唆されている. しかし, VIPの拮抗薬がまだ発見されていないこともあり, 十分には解明されていない. 本稿では著者の実験結果と最近の知見から, 体循環, 冠循環, 肺循環, 脳循環などについてVIP投与時の循環動態や種々の病態下での血中VIP濃度変化について検討し, 最後にショック時の血中VIP濃度変化について考えてみたい. |