Abstract | はじめに 硝酸薬の歴史は古く100年以上前に遡る. 1826年にBralardによって合成されたamylnitriteは, 1867年 Bruntonが狭心症に瀉血が有効なことにヒントを得て, 始めて狭心症に応用した. 代表的硝酸薬であるnitroglycerinは1846年Sobreroによって合成され, 1876年有名なNobelにより工業目的に使用されたが, 狭心症治療に用いられるようになったのはMurrell(1879)に始まる1). それ以後, 硝酸化合物は狭心症の特効薬として汎用されたが, その薬理学的研究はKrantzらがNO2が作用基であることをつきとめた1950年頃から始まり2), isosorbide dinitrate(ISDN)が合成された. このように硝酸薬は非常に古い歴史を持つ薬物であるが, 現在でもnitroglycerinとisosorbide dinitrateは狭心発作に対する第一選択の薬剤として多用されている. 最近, 従来からあった舌下錠や経口薬に加えて, 軟膏・貼付薬・徐放剤・静注薬など新しい剤型が開発され, 投与法も多様化してきた. |