Abstract | はじめに 従来心不全の治療には, 専ら利尿薬やdigitalis製剤が用いられてきたが, 近年, 血管拡張薬を用いた減負荷療法が試みられ, 比較的よい結果が得られている. しかし, 各種心疾患の終末像としての心不全が増加し, それに伴って従来の治療薬ではコントロールできない例やdopamine, dobutamineなどのcatecholamine注射薬からの離脱が困難な例がみられ, 新しい経口強心薬の開発が望まれている. 最近, 本邦で開発されたdenopamine(田辺製薬, Kalgut(R))は一連の新しい強心薬のトップをきって認可を得た薬剤であり, 今回の新薬紹介に取り上げることとした. 薬理 過去200年の間, digitalisは陽性変時作用をもたず, 陽性変力作用を有する代表的強目薬として, 心不全治療に繁用されてきた. しかし, digitalisには, 治療係数が2以下で, 致死的な不整脈をおこしやすいという欠点があり, 最近digitalisに代わり得る経口強心薬の開発が活発に行われるようになった. それらを大別すると(1)catecholamine, (2)cyclic AMP phosphodiesterase inhibitor, (3)その他, に分類できる. |