Abstract | はじめに 複屈折法(Birefringence法)は心筋保護を評価するにあたり組織化学的手法に定量性を与えた方法としてBraimbridge, Darracott−Cankovicらによって報告されてきた1, 2). しかし, この方法を用いている施設はごく限られており, それ故, 複屈折法の意義は十分知られていないのが現状である. そこで, 本文では複屈折法の原理と方法, それを用いた心臓外科分野での新しい応用例を紹介する. 1. 複屈折法の原理 偏光顕微鏡は偏光板(偏光子;polarizer)をおいて自然光より常偏光だけを集光器に入れて標本を照射し, 再び偏光板(検光子;analizer)をおいて, 標本による複屈折を検査する装置である. 図1を用いて説明すると, (1)偏光子を介し入ってきた光(W−E)はこの面でのみ振動することにより, 検光子(N−S)を直交するようにおくと(直交ニコル)光は遮断され画面は暗色となる(黒丸印). (2)ここに光学的等方性の検体を直行ニコルに対して45度におくと, 光は偏光されることなく検光子を介しA’-A’の明るさとして観察される. |