Abstract | 本シンポジウムはとくに麻酔の肝・腎の問題点にテーマをしぼって構成したものではなく, 集まった演題からこのテーマに合いそうなものを選んでいただいて構成したものであるから, 多少の偏りはやむを得ず, 肝腎循環の論ずべきものすべてを網羅したものではないが, 研究に視点を置いたものだけに, それだけ特殊の問題点を深く掘り下げた研究が集められたので, その研究的独自性に注目して以下の論文を読んでいただき度い. 腹腔内神経叢ブロックという麻酔医が親しんでいる技術を施行したさいに, どう血流が変化するかという日常的技術の見通しからこのシンポジウムが始まり, これまた日常業務化している低血圧麻酔のさいの, 既に極めて科学的に高い評価を受けている方法による検討から, 今まで明確な定量法が困難であった肝血流と代謝の研究および肝血流代謝に及ぼす影響を見た2つの演題, そしてこれらの問題をふまえて, 現在外国では盛んに行なわれている, 日本からも手術を受けに行き, 近未来において必ず問題となる肝移植の間の, 肝がしばらく作用しない間の循環はどうなるのかという興味ある問題への挑戦と, このシンポジウムに含まれる5題の演題は一見個々の研究のように見えるが, 相互つながって臓器循環の興味ある問題への取り組みとなっていることに注目されたい. |