Abstract | 1. はじめに 高血圧の発症とその持続に関しては, 末梢血管抵抗の増大が重要な役割を占めることは周知の事実である. 末梢血管抵抗の増大には, まず第一に血管平滑筋の緊張増加によって招来される. 高血圧の持続により, 血管壁の肥厚・増生など構築上の変化はもとより, 心臓に対する後負荷の増大を招き, その結果, 左室の拡大や肥大を伴ってくる. このような臨床的背景をもとに, 血管拡張薬による末梢血管抵抗の減少をはかり, 血圧下降により心臓の減負荷をもたらす治療が行われている. 最近, 徐放性の血管拡張型降圧薬であるurapidil(Ebrantil(R))カプセルが科研製薬において開発され, 厚生省の認可を受けて, 発売されることになったので, 新しい降圧薬として紹介する. 2. 剤型とその特徴 Ebrantilは, 西独のByk Gulden社のKlemm1)らにより合成されたphenyl−piperazine誘導体の一つであるurapidilを有効成分とする徐放性降圧薬であり, 1カプセル中にurapidilをそれぞれ15mg, 30mgおよび45mgを含有する3種類の製剤がある. |