Abstract | 我々麻酔科医は, 術前の患者評価を基にモニタ, 麻酔方法, 併用薬剤等を含めた麻酔管理方針を決定し, 患者の急変にいち早く対処し, 常に患者の状態を最適に維持することを旨としている. 従って, 術前の患者評価は, 安全な麻酔管理の基本であり, 患者の術後経過をも決定する重要な因子である. 今日, 心臓外科手術症例の増加, 予後の向上に伴い, 心臓外科手術を受けた患者の一般外科手術症例も年々増加の一途をたどっている. 一方, 患者の高齢化, 重症化も進み, 麻酔管理も多様化, 複雑化しつつあるのが現状である. 従って, 心臓外科手術を受けた患者が一般外科手術を受ける際の術前評価も, 従来の範ちゅうを越えた配慮を要する可能性があり, 改めてその術前評価を再検討する必要がある段階にきている. 以上の諸事象をふまえて, 今回, 本学会において「開心術をうけた患者の一般外科手術に対する術前評価」と題し, 改めて外科医, 内科医を含めたより包括的, より入念な検討を加えることは, 誠に実際的かつ時宜を得たものであり, これが契機となって現実に即したよりよい患者管理, 患者の予後の向上に関する論議が益々高まることを期待する次第である. |