Abstract | 「はじめに」心臓外科手術の進歩に伴い, 冠血行再建術や弁置換術後の患者が一般手術を受ける機会が増加してきた. 弁置換術後の患者における術前の問題点は多く, 慎重な麻酔管理が要求される冠血行再建術後の患者についての報告は比較的多いが, 弁置換術後の患者における報告は少ない. 「対象および方法」東京女子医科大学麻酔学教室において, 1984-1988年の5年間に経験した弁置換術後の麻酔症例を, 術前の患者状態および検査データを中心にretrospectiveに検討した. 再弁置換術などの心臓手術およびカルテ上記載が不確かな症例, 検査データ等は対象から除外した. 「結果」5年間における対象症例は54例であり, 各年度における症例数はほぼ一定している. 各科別にみると, 消化器疾患が最も多くついで産婦人科, 形成外科, 耳鼻科の順である. 開腹手術が全体の6割以上を占めているが, 症例は各科にわたっている(図1). 性別は, 男性22名, 女性32名であった. 年令は, 平均50.7±10.2才であり最近の一般手術症例の高齢化に比して, 若い年令層が多く50才以下が全体の半数以上を占めている. ASAはII度23例(50.1%), III度20例(43.5%), IV度3例(6.4%)であった. |