Abstract | 「I 緒言」日本心臓血圧研究所では心臓・大血管の手術を2万例施行してきた. この内, 弁膜症に対する手術は7,500例(非直視下交連切開術4,000例, 直視下交連切開術1,000例, 弁置換術2,500例)である. 虚血性心疾患に対する手術は1,200例である. 一方, 我国全体では昭和61年の心・大血管手術は先天性疾患8,442例, 後天性心疾患9,898例(弁膜症4,982, 虚血性心疾患4,555, その他357), 胸部大動脈瘤1,163例, 以上の総計は19,503例であり, これに加えてペースメーカーは5,090例である. 以上のごとく, 多くの心・大血管手術症例が, 他の手術を受ける機会が当然ながら多くなりつつあり, 術前の評価, 麻酔, 手術等に関する諸問題が台頭してきた. 本稿ではCABG・弁置換患者の一般手術, 妊娠等について検討し, 二三の興味ある知見を得たので報告する. 「II CABG・弁置換患者の一般手術の種類」大きく分類するとminor surgery, major surgeryそして手術と異なるが妊娠・分娩とがある. minon surgeryには抜菌, 小外傷, 光凝固(眼科), 耳鼻科, 携行型腹膜潅流(CAPD)等がある. major surgeryには消化器手術, 乳房手術等の一般外科, 脳外科, 産婦人科, 泌尿器科, 整形外科領域の手術等がある. |