Abstract | 「はじめに」1980年にFurchgottとZawadzki 1)がアセチルコリンによる血管内皮依存性の血管平滑筋弛緩反応(endothelium dependent relaxation)を報告して以来, この約10年間に急速に多くの研究がなされるようになった. これらの研究は多方面にわたるが基本的には二つに大別することができる. その一つは内皮由来の弛緩物質(endothelium derived relaxing factor, EDRF)の血管弛緩の機序と生理的意義に関する研究である. もう一つはEDRFそのものの追求である. EDRFはその後酸化窒素(NO)である可能性が示され2), 現在最も有力な候補であるがこれで諸現象が完全に説明されたとは云えないし, 複数の物質を想定する研究者もいる. さらに内皮由来の血管収縮物質(endothelium derived contracting factor, EDCF)があることもわかって来た(最近同定されたendothelin 3)もその一つである)ため血管の内皮依存性反応はより複雑になってきた. 内皮依存性の血管平滑筋弛緩時には平滑筋内のcyclic GMPの増加がみられ, このcyclic GMPの増加を妨げる処理(例えばグアニレートシクラーゼ活性を抑えるメチレンブルー処理)で弛緩反応が消失する. 細胞内cyclic GMPは細胞内遊離Ca濃度を下げるかあるいはミオシンライトチェインを脱燐酸化して弛緩反応をもたらす4-7)(図1). |