Abstract | Japan Society of Circulation Control 「1. はじめに」手術中の患者の麻酔管理において動脈血圧の測定は基本的なモニタリングの一つである1). 血圧測定法には非観血的手法と観血的手法とがある. 観血的手法は一心拍毎の血圧値が得られ, 頻回の動脈血ガス分析が可能であることより頻用されているが, 種々の合併症が危惧される2)3). 近年, 非観血的PO2, PCO2モニタは実用化されており, 非観血的手法による一心拍毎の連続血圧測定が可能であれば, 観血的手法に匹敵するものになると期待される. 非観血的連続的血圧測定法には種々の方法があるが, トノメトリ法応用による連続的血圧測定装置CBM-3000(日本コーリン)の臨床的評価を行ってきたので, 紹介する. 「2. 測定原理4)5)」血管の小片に働く力は血管内圧と血管壁の円周方向に働く応力の影響を受ける(図1(a)). しかしながら, 図1(b)のように圧迫圧(holddown pressure)をかけて血管壁を平坦化すると, 血管壁の曲率半径は無限大となり, 円周方向応力は無視できる. したがって, 測定される圧は血管壁に垂直に働く血管内圧を反映する. しかし, そのためには以下の条件が必要である. すなわち, (1)圧迫される動脈は下部から骨で支えられていること, (2)皮膚と血管との間の組織は動脈径より小さいこと, (3)圧トランスデューサは平坦化された動脈壁の中心に位置すること, (4)圧迫圧は動脈を平坦化しても閉塞しないことである. |