Abstract | 従来の循環動態の研究論文にはいくつかの仮定をおいて論じているものが多い. あるいは, 空間的にも時間的にも細部にこだわらず, overallに見ていることも多かった. たとえば, 心拍出量や, 全末梢血管抵抗がそうである, いうまでもなく, 心拍出量は1分間の時間帯をおしなべてみたものであり, その間をいわばsteady stateと見做しているといってよかろう. 全末梢血管抵抗にしても, 血液はニュートン流体であり, その流れは定常流であって, Poiseuiileの法則が成立することを一応の了解事項としている. このことは一見乱暴なようでもあるが, これまで多くの大切な知見をもたらしたことはいうまでもない. 肺循環では, 毛細管血流までもpulsatileであるとされているから, 肺血管抵抗となるともうまったくの生理学的な架空のパラメータと言うの他はない. もっとも, そんなことを言い出せば数え切れないほどたくさんの事例がある. だが, ここでいいたいことが二つある. 一つは, 基礎に横たわっている仮定を忘れてはいけないと言う事である. たとえば, 肺胞式というのがある(循環というよりは呼吸に関係が深いので恐縮だが). |