Abstract | 循環制御研究会が呱々の声をあげたのは, 昭和55年(1980年)にさかのぼる. 第27回日本麻酔学会総会が名古屋市で開催された前日の6月3日, 第1回循環制御研究会が斉藤隆雄教授の下に名古屋市民会館において約200名の会員が参加して発足した. 同年雑誌「循環制御」も創刊された. 平成2年6月3日で満10年を迎えられることに対し心からお祝い申し上げます. この間循環制御に関する研究の進歩発展はめざましいものがあり, 昨年第10回日本循環制御医学会総会が日本麻酔学会と切り離し, 藤田昌雄会長の下に5月20日東京で開催されました. 会員数も870名に増加し, その内容を拝見すると, すぐれた演題について十分に時間をかけ, 実質的な討議が行われており, この領域における学問の発展に多大の貢献をなされておられます. 初心忘るべからずという言葉があります. 「循環制御」の創刊のことばに斉藤教授は次のように述べられています. 「本会は, 従来の内科的循環器学や心臓血管外科学とは違った角度, すなわちもう少しダイナミックな視点から循環を見直してみようというところに会創設の趣旨があったわけである. ……中略……いわば或種の「境界領域指向」という言葉であるが, しかし我々の考える「循環制御」の意味するところは決して対象を狭義の「制御」に限定することを意図するものではない. 広く関連領域を含めて, 細胞レベルから全身的規模に至るまで, 循環機能の調節を扱って行こうとするものである. |