Japanese
Title循環動態の特徴
Subtitle特集
Authors今井孝祐*
Authors(kana)
Organization*群馬大学医学部救急部
Journal循環制御
Volume11
Number2
Page177-181
Year/Month1990/
Article報告
Publisher日本循環制御医学会
Abstract「はじめに」重篤な感染症の際, 発熱, 悪寒戦慄, 過呼吸, 意識低下と同時に, 或は引き続いて急激な血圧の低下をきたしショックに陥ることが時に経験される. 多くの症例は明かな感染巣が認められ細菌性ショックの診断に迷うことは少ないが, 明かな感染巣が証明できずに血圧低下, ショック症状が突然に発症することも稀ではない. この平な細菌性ショックの循環動態を詳細に検討してみると, 低血圧にも拘らず心拍出量は高く, 末梢血管抵抗の減弱が顕著であるhyperdynamic shock(state)と称される特異な循環動態を呈することが多く, 心拍出量が減少することがショックの主たる原因である出血性ショック, 心原性ショック等の他のタイプのショックと著しくその病態を異にする. 本論文は, この様な特徴をもつ細菌性ショックに関して代表的症例を呈示してその病態を明示すること, hyperdynamic stateでは心機能は亢進しているのか抑制されているのか, hyperdynamic stateは維持すべきか否か, どの様な機序で起こるのか, 治療はどの様に行うか, 等を概説することを目的とする. 「1. 細菌性ショックの循環動態の特徴」細菌性ショックにあっては, 動脈血圧はショックレベルにあっても心拍出量は高いhyperdynamic stateが特徴であることを述べたが, 実際の臨床例においてその実態を示す(表1). 症例は71歳男性, 10年前に右肺に結核に起因する鶏卵大の空洞を形成, 結核菌の排泄は消失したが細菌感染を繰り返し空洞洗浄等を行っていた.
Practice基礎医学・関連科学
Keywords

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