Japanese
Title新しいカルシウム拮抗薬ニトレンジピンの薬理作用と臨床効果について
Subtitle薬剤紹介
Authors岸田浩*
Authors(kana)
Organization*日本医科大学第1内科
Journal循環制御
Volume11
Number2
Page269-274
Year/Month1990/
Article報告
Publisher日本循環制御医学会
Abstractニトレンジピンは西ドイツ・バイエル社で開発されたジヒドロピリジン系に属する新しいカルシウム拮抗薬であり, ニフェジピンに類似した薬理作用をしめすが, 作用の持続が長く, 心抑制作用が弱いなどの特徴を有している1). したがって, 本薬剤の臨床的有用性は従来のカルシウム拮抗薬よりも優れた点を持つことが示唆された. 本稿では最近市販されたニトレンジピンの薬理作用および臨床成績の概略を紹介する. 「1. ニトレンジピンの薬理作用」ニトレンジピンの化学名はethyl methyl 1,4-dihydro-2,6-dimethyl-4-(m-nitrophenyl)-3,5-pyridinedicarboxylateであり, その構造式を図1に示す. 分子式はC18H20N2O6, 分子量は360.37, 性状は黄色の結晶性の粉末で, クロロホルムには極めて溶けやすく, エタノールにやや溶けにくく, 水にはほとんど溶けない. 本剤は電位依存性Caチャンネルに特異的に結合し(KD=0.19nM), 細胞外から細胞内へのCa2+の流入を減少させることにより血管平滑筋を弛緩させ, 血管抵抗を減少させることが知られている1). ウサギ大動脈摘出標本によるK+収縮の抑制は同用量でのニフェジピンに比べ持続的であった(ニトレンジピンの効果の半減期は5.4時間, ニフェジピン3.3時問). また, ウサギ摘出大動脈における50%抑制濃度(IC50)は3.1×10-9mol/Lで他のカルシウム拮抗薬に比べ強力である2). さらに, その親和性は3H-ニトレンジピン結合に対する50%抑制量から, ニトレンジピンはニフェジピンより特異的結合部位における親和性の高いことが示唆された3).
Practice基礎医学・関連科学
Keywords

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