Abstract | 「I. はじめに」左室駆出率を始め心拍出量などの心機能を測定する装置には色々あるが, 多くは安静時に限ってその測定が可能である. 心プールスキャンなど, 一部に運動中の測定可能な方法はあるが, これらにおいても一定の体位でかつ比較的少ない運動強度でのsteady-stateにおいてのみ測定が可能であり, steady-stateが得られない高負荷量や直線的漸増負荷プロトコールの運動負荷試験中には原理的に使用不可能である. 最近テルル化カドミウム半導体検出器(CdTe検出器)を用いた心機能測定装置が開発され1), 臨床に試用されるようになった. この装置は理論的に一心拍ごとの心機能を連続的にモニター可能でsteady-stateを必要としないため, われわれは直線的漸増負荷中の左心機能モニター装置として利用し, 良好な結果を得ているので紹介する. 「II. 装置」これは一言で言えばγカメラでの心プールスキャン法のうち, 左室のtime-activity curve解析だけを行うシングルプローブ型の装置である. しかし従来のいわゆる核聴診器などではNaI検出器を用いており, 光電子増倍管やプリアンプが付属するため, 通常は支持スタンドに固定し使用していた. しかしCdTe検出器は時間分解能に優れ, 重量約17g, 16mm径, 厚さ2mm程度であり, ゴム製のベストにマジックテープで固定できるので運動負荷中にも十分に使用可能である(図1, 図2). |