Abstract | 「要旨」イヌ血液導流同房結節・乳頭筋標本を用いて吸入麻酔薬とカルシウム拮抗薬の相互作用を検討した, その組み合わせは, 1)無麻酔下のジルチアゼム, 2)ハロセンとジルチアゼム, 3)エンフルレンとジルチアゼム, 4)無麻酔下のニカルジピン, 5)エンフルレンとニカルジピンである. 1), 2), 3)群の比較:ハロセン・エンフルレン群では無麻酔群と較べて平均血圧(MAP), 供血犬心拍数(DHR)を有意に抑制した. エンフルレン群はハロセン群と異なり乳頭筋収縮力(DT)を有意に抑制しPQ間隔(PQ)を有意に延長した. しかし洞房結節の同調律数(SAR)は3群間で有意差はなかった. 4), 5)群の比較:エンフルレン群ではMAP, DHRおよびDTを有意に抑制しSAR, PQは2群間で有意差はなかった. 吸入麻酔薬のカルシウム拮抗薬に与える影響(特に収縮力に対しての)が麻酔薬により異なる原因は明らかではないが, A:麻酔下では肝でのカルシウム拮抗薬クリアランスが低下し血中濃度が上昇する. B:麻酔薬(カルシウム拮抗薬も?)によって心筋への作用部位が異なる. などが考えられる. 結語:ジルチアゼムやニカルジピンの心血管系に及ぼす作用はハロセン・エンフルレンなどの吸入麻酔薬によって増強される恐れがあり注意を要する. |