Abstract | Ca++拮抗薬なる概念が1968年Fleckensteinにより提唱されて以来約20年, 今日この種の薬は循環系の治療薬の花形として脚光をあびている. 1970年代初頭, Ca++拮抗薬が狭心症, 高血圧の治療薬としての有望性が指摘された頃, 吸入麻酔薬の陰性変力作用の機序として, 筋収縮に必要な細胞内Ca++の減少が強く示唆された. 将来両薬剤が併用される可能性が大であること, しかも共に細胞内Ca++濃度の減少がその作用に関係していると思われることより, その相互作用を検討する必要性が感じられた. 著者らはいち早く, 1970年代中期より研究に着手, その成果をAnesthesiologyに投稿したが, 麻酔領域ではほとんどCa++拮抗薬について知られておらず, 特に米国では, 意義不明とのことで掲載されなかった. その後, 1983年麻酔に掲載された我々の論文1)が吸入麻酔薬とCa++拮抗薬の相互作用を検討した最初のものであった. その前年AnesthesiologyにCa++拮抗薬の麻酔領域における重要性についての総論が初めて掲載され2), その後両種薬剤の相互作用についての論文が相次いで発表されて来ている. 今日それらの研究もほぼ出つくした感がするので, 今回吸入麻酔薬とCa++拮抗薬の心機能における相互作用につきまとめるシンポジウムを企画した. |