Abstract | β受容体は大別して, β1, β2の二つに分けられる. β1, β2受容体共にクローン化され, さらにβ1, β2受容体共にその構造が決定された. それに加えて受容体adenyl cyclase複合体の詳細が解明された. 「I. β受容体の構造, 調節, 活性機作」「A. β受容体adenyl cyclase複合体の構造」β受容体adenyl cyclase複合体の構造は多遺伝子産生物3部よりなる構造を持ち, 細胞外のホルモンや神経伝達物質の刺激に応じて細胞内でcAMPを産生するように働く. ヒト心臓の主神経伝達物質はノルエピネフリンであり, β2受容体よりβ1受容体により親和性を持ちβ1刺激剤として作用する. 他はエピネフリンであり, 非選択性である. β受容体adenyl cyclase複合体は細胞外の分子が結合する受容体部分, 刺激および抑制因子よりなるグアニンヌクレオタイド調節部分, 細胞内でATPからcAMPの生成を触媒する触媒部分からなる. 「1. β受容体」β1, β2受容体はともにヒト心臓に発現され, 両者ともadenyl cyclaseの刺激と心筋収縮に連動している1). 非不全心筋でのβ1, β2受容体の比は約80:20であるが, 心不全心のそれは60:40に変わる2). この変化は心不全におけるβ1受容体の選択的調節低下のためであり, その数は60-70%減少する. これに反して, β2受容体は10-15%の減少である, β2受容体遺伝子は最近クローニングされたが3), この受容体は細胞外部分, 細胞膜通過部分, 細胞内部分の3部に分けられる. |