Abstract | 以前はわが国ではバージャー病ないしはそれに類似の病変が四肢慢性動脈閉塞の過半数を占めていたが, 近年閉塞性動脈硬化症の増加が著しく, 今日ではその大半が閉塞性動脈硬化症といってよい(図1). これらの病変に対し保存的には血管拡張薬や抗血小板薬を中心として薬物療法と歩行練習などの理学療法が主に行われているが, 外科的にはその症状, 閉塞の部位と範囲の状態などから治療の方針が決められる. 「薬物療法 -最近の動向-」近年, 微小循環の研究や血小板機能の解明などが進み, プロスタグランジンE1(PGE1)の登場などもあって微小循環レベルでの血流を増加させる目的で, 血小板凝集抑制剤, 赤血球変形能賦活剤, 脱線維素剤など従来の薬物とは作用機序を異にする種々の薬剤が開発されるようになった(表1). 「1. 血小板凝集抑制剤」慢性動脈閉塞症は, 動脈内に血栓を形成し増悪, 再燃を繰り返しつつ進行する疾患であり, 急性増悪期には血小板凝集能の亢進が, 慢性増悪期には血小板の疲弊が起こることが報告されている. 本疾患に対する薬物療法としては以前より種々の末梢血管拡張薬が用いられてきたが, 上述のような知見が得られて以降, 血小板機能を抑制する薬物も有効とされるようになってきた. |