Japanese
Title脳循環の特異性
Subtitle特集
Authors吉峰俊樹*, 早川徹*
Authors(kana)
Organization*大阪大学脳神経外科
Journal循環制御
Volume12
Number2
Page195-201
Year/Month1991/
Article報告
Publisher日本循環制御医学会
Abstract「1. はじめに」脳には全体でおよそ750ml/minの血流がみられ, 体重の2〜3%の重量の臓器に総心拍出量の15%の血流供給があることになる. 代謝面でも脳は安静時の全身酸素消費量の20%を消費している1). このような大きなエネルギー需要にみあう血液潅流が脳循環の特徴の一つである. これに加え, 脳循環系には解剖学的および機能的にいくつかの特徴がある. これらの機能の変化や影響を含めて脳虚血病態を概観したい. 「2. 脳血管系構築の特異性」「(1)血管吻合(側副血行路)」脳血管では動脈間や動脈の末梢部において吻合がみられる. これは(1)外頚動脈と内頚動脈間, (2)ウィリス輪, および(3)脳軟膜血管に大別でき, 脳幹動脈閉塞にさいし重要な側副血行路として働く2). 「(2)全脳虚血と局所脳虚血」脳虚血は大脳, 小脳を含めた脳全体におよぶ全脳虚血と, 一部に限局する局所脳虚血に分けられる. 全脳虚血は心停止や全身低血圧にともなうものであり, 心停止で血流が完全に途絶すると全脳完全虚血となる. これに対し, 局所脳虚血は頚部ないし頭蓋内の脳血管閉塞ないし狭窄などによる. この際には前述の血管吻合(側副血行路)を介する血流のため, 様々の分布と広がりをもった不完全虚血巣が出現する2). 全脳虚血と局所脳虚血とは病態が大きく異なり, 臨床的にみられる脳梗塞はほとんどが局所脳虚血である.
Practice基礎医学・関連科学
Keywords

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