Japanese
Title開心術に於ける心筋保護の現況
Subtitle特集
Authors島田宗洋*
Authors(kana)
Organization*国立小児病院心臓血管外科
Journal循環制御
Volume12
Number4
Page633-638
Year/Month1991/
Article報告
Publisher日本循環制御医学会
Abstract「I. はじめに」開心術の周術期に於ける心筋保護法とは, 心筋微細構築を出来るだけ温存する為の戦略全体を意味するものである. 従って, 麻酔の導入時から人工心肺開始までの血行動態, 人工心肺中の末梢循環の適正な維持, 人工心肺後の循環管理なども広い意味でこれに含まれる. ここでは, 従来から用いられている狭義の心筋保護, つまり大動脈遮断下に於ける心筋細胞の微細構築を如何に保護するかと言う点に限って, 現在の私の見解と展望をのべる事にする. 周術期の心筋保護法について語るには, 何よりも先ず心筋の正常構築とその働きについての理解が必要である. 心筋細胞膜の能動輸送によって細胞内に存在する種々の電界質イオンは, Tチューブを介して心筋細胞の奥深く運び込まれ, とりわけ, Caイオンは, Sarcoplasmic Reticulumを経て筋原繊維に至り, ミオシンとアクチンに作用して心筋の収縮をもたらす. このような機構は, ミトコンドリアに於て産生されたATPのエネルギーによって維持されるものである. 開心術では, 殆どの場合に大動脈の遮断が必要であり, この虚血期間中に, これらの心筋微細構築の劣化を防止する為の戦略が術後の心機能状態を大きく左右する事は言うまでもない(図1)1).
Practice基礎医学・関連科学
Keywords

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