Abstract | 「概略」アミオダロン(amiodarone)は, 1962年ベルギーにおいて血管拡張薬として開発され, 当初, 狭心症の治療薬として用いられていた1). その後, 抗不整脈作用を有することが認められ, Vaughan-Williams分類III群の抗不整脈薬として, ひろく欧米において使用されている1). 現時点では, 上室性, 心室性, を問わず種々の頻脈性不整脈に対して, 最も強力な抗不整脈薬の一つであり, 長期使用も可能であることが認められている. しかしながら, 薬物動態や薬理作用に特異な点や不明な点も多く, かつ全身に及ぶ多彩な副作用を有することでも知られている. 本邦においては, 1984年頃より使用経験が報告され2), 1986年12月より, 難治性の再発性心室頻拍/心室細動あるいは肥大型心筋症に伴う発作性心房粗細動を対象とする, 経口薬の臨床試験が行われ3)4), 現在, 厚生省へ申請中である. 「薬理および薬物動態」アミオダロンは, 図1に示す化学構造を有する, ヨードを結合したbenzofuran誘導体である. 経口投与された場合, 1)tmax:2〜12時間, 2)生物学的利用能:22-86%, 3)体内分布容量:66l/kg(急性), 4)排泄半減期:13.7-52.6日などのデータに示されるごとく, 1)吸収が緩徐である, 2)生物学的利用能が低い, 3)体内分布が広範である(主な分布部位は脂肪組織であり, 筋肉, 肺, 肝, 腎などがそれに次ぐ), 4)半減期が極めて長いなどの薬物動態上の特徴を有する4). |