Japanese
Title冠盗流現象と心筋虚血 総論
Subtitle特集
Authors谷口興一*
Authors(kana)
Organization*東京医科歯科大学霞ヶ浦分院
Journal循環制御
Volume13
Number1
Page5-11
Year/Month1992/
Article報告
Publisher日本循環制御医学会
Abstract「1. 歴史的背景」Steal phenomenon, すなわち盗流現象ないしは盗血現象と邦訳されている語句が最初に用いられたのは, 鎖骨下動脈の閉塞性疾患に伴う椎骨動脈の逆方向血流に対してである. 鎖骨下動脈の閉塞性疾患については, すでに前世紀から知られ1), 脳血管症状2)を合併することが認められていた. 本疾患の診断と治療に関する最初の報告者は, 1960年, Contorniら3)であるが, 翌1961年, Reivichら4)は"vascular steal"の概念のもとに, 椎骨動脈の出向き血流により脳虚血現象を伴う鎖骨下動脈狭窄の2奨励を報告した. この症例報告を読んだFisher 5)は, New Engl.J.Med.のeditorialの中で, この新しい血管症候群を"subclavian steal"と称したのが, 乱流現象の端緒であると思われる. Coronary steal phenomen, すなわち冠盗流現象に関する概念は, sublavian stealに比べて数年遅れて記載された. 1960年代の後半, 慢性虚血領域における逆向き血流や限局的な冠血管抵抗に関する血管拡張薬の効果が, Famら6)7)によって報告され, 冠盗流現象を示唆する所見が認められている. また, 不安定狭心症の患者にdipyridamoleを静注すると, 狭心発作が誘発されることをMontero 8)が報告して以来, dipyridamoleは冠盗流現象を惹起して心筋虚血を誘発するのではないかという疑問が生じてきた.
Practice基礎医学・関連科学
Keywords

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