Japanese
Title代謝面からみた心筋虚血と冠盗流現象
Subtitle特集
Authors市原和夫*
Authors(kana)
Organization*旭川医科大学薬理学教室
Journal循環制御
Volume13
Number1
Page27-31
Year/Month1992/
Article報告
Publisher日本循環制御医学会
Abstract「I. はじめに」冠動脈不全があって, 心筋に対する血液供給が不足するとその組織は虚血になり, 臨床症状としては狭心症や心筋梗塞になる, ニトログリセリンに冠血管拡張作用が見いだされて以来1), このような虚血性心疾患の治療薬として, 種々の冠血管拡張薬が臨床の場に供給されてきた. しかし, 最近では冠血管拡張薬が必ずしも有効な狭心症治療薬とはならないことが指摘されている. 例えば, ジピリダモールは強力な冠血管拡張作用を有し, 現在でも狭心症治療に使用されているが, この薬物は狭心症患者に投与すると心筋虚血が誘発されるという. 虚血になって心筋組織への血流量が減少すると, その組織は酸素不足になりいろいろな代謝変化が起こる. 組織アデノシン三燐酸(ATP)やクレアチン燐酸などの高エネルギー燐酸化合物含量が低下し, 嫌気的糖代謝が亢進し, 心筋組織はアシドージスになる. 虚血心筋の代謝変動を指標にすると, 薬物の冠血管拡張作用の有無にかかわらず, 虚血部位の心筋組織が実際にその薬物によって酸素不足が改善されているか否かを判断することができる. 本稿では, 筆者のこれまでの研究から強力な冠血管拡張作用を示す薬物は虚血によって起こる上記代謝変化をかえって悪化することを述べ, これらの薬物が冠盗流現象を起こしているのかもしれないことを考察する.
Practice基礎医学・関連科学
Keywords

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