Japanese
Titleチオバルビツレートの血管作用
Subtitle総説
Authors畑埜義雄*, 中村久美**, 西和田誠***
Authors(kana)
Organization*和歌山県立医科大学麻酔科, **京都大学医学部麻酔科, ***天理よろず相談所病院麻酔科
Journal循環制御
Volume13
Number1
Page75-82
Year/Month1992/
Article報告
Publisher日本循環制御医学会
Abstract全身麻酔を導入すれば血圧が下がる. 我々麻酔医が毎日のように遭遇しているこの現象は, 一部は手術前の不安より亢進していた交感神経系の緊張が麻酔導入により低下するという, 麻酔薬の薬理作用にはよらない事象によっている. しかし, 多くの麻酔薬は心筋, 血管平滑筋, 交感神経或いは副交感神経, 圧受容体などに固有の作用を有しており, これらが全身麻酔導入による循環系の変動を修飾している. チオペンタールおよびサイアミラールは, 図1に示すバルビツレート酸のX基が硫化され脂肪溶解性が高まることによって, 作用発現が早く, 効力が高くなった超短時間作用性バルビツレートである. 臨床使用が始められて50年になろうとしており, 現在使用されている麻酔薬の中で笑気に次いで古く, かつ多用されている麻酔薬の1つである. チオペンタールの循環系への作用についての臨床実験も古くから報告されており, その多くは, チオペンタールはその心筋収縮力抑制作用によって, 心拍出量, 特に1回拍出量を低下させるが, 末梢血管抵抗は不変あるいは上昇させることを示している1-4). この末梢血管抵抗の上昇は, 心拍出量減少に対する交感神経を介する代償性血管収縮なのか, あるいは, チオペンタールの血管への直接作用によるのであるかと云う疑問が持たれる.
Practice基礎医学・関連科学
Keywords

【全文PDF】