Authors | 松波英寿*, 野村和彦*, 小林聡*, 浦田浩一*, 丸田福門*, 河西秀*, 池上俊彦*, 橋倉泰彦*, 石曽根新八*, 川崎誠治*, 幕内雅敏*, 河原崎秀雄**, 岩中督** |
Abstract | 「1. はじめに」肝移植の成績は多くの要因に左右されるが, その中でもgraftのviabilityは術後早期の成績に影響する大きな因子である. また, graftのviabilityは虚血の程度と密接に関係すると考えられる. 本稿では生体肝移植を中心に, 肝移植と虚血に関する問題点を検討する. 「2. 対象」1990年6月以来, 信州大学第1外科において行なわれた7例の生体肝移植症例を対象とした. donorは全例健康な成人男子で父親である. recipientの原疾患は6例(症例1,2,4,5,6,7)が胆道閉鎖症であり, 1例(症例3)は肝癌合併乳児肝炎である. 手術方法の詳細は既に報告1-6)してあるので, 各項目で肝虚血に直接かかわる手技のみ述べる. 脳死肝移植は, オーストラリア, ブリスベンのQueensland liver transplantation service(QLTS)7)において行なわれた症例のうち, 保存液としてWisconsin university solution(UW液)を使用し, 部分肝移植を行なった症例20例を対象とした. |