Abstract | 「はじめに」リアノジン受容体(RyR)は現在では筋小胞体(SR)のCa放出チャネルを構成する蛋白質で, そのモノマーの分子量が565kDaの大きなタンパク質であり, リアノジン(Ry)を高親和性に結合し, その結果Ca放出チャネルは開口したままになると考えられている. Ryの作用は動物種差, 臓器差その外の実験条件により種々であるが, 共通している点は脊椎動物骨格筋の筋拘縮(昆虫類の骨格筋では筋弛緩), 心筋の収縮力低下である1). 受容体を「薬物を結合し, その薬物の作用発現のもととなる諸反応を惹起させうる生体成分」と定義通りに解釈すると, 脊椎動物の骨格筋で得られる実験結果は前述RyRの通常の概念と合致するが, 心筋の場合には後に詳述するように説明困難な点もあり, 今後の慎重な検討が望まれる. 本論文ではRyの心筋に対する作用と心筋の所謂RyRについて主に考察する. Ryはイイギリ科(Flacourtiaceae)の南米ベネズエラTrinidad原産の植物Ryania speciosaの根, 茎から単離したリトマス中性のアルカロイドであり, 図1Aの(1)の構造式を持つ1). |