Abstract | 「要旨」過去1年3ヵ月88例の小児開心術の麻酔管理を, (1)導入より体外循環まで, (2)体外循環下, (3)体外循環以後の3期にわけretrospectiveに検討した. 体外循環前ではファロー氏四徴症(TOF)群の肺血流の維持が問題となった. 体外循環中では灌流状態と術後カテコラミン使用日数について検討してみたところ総体外循環時間, 大動脈遮断時間に偏相関関係がみられた. その他は有意な関係はみられなかった. 体外循環離脱後, VSD+PH症例では術前よりのPp/Psの程度に応じてPaO2が低下した. 手術成績は88例中手術死亡5例(5.6%)であった. 各疾患固有の病態をふまえたうえで, 個々の麻酔管理が必要と考えた. 「はじめに」小児開心術の麻酔管理には, 先天性心疾患(以下CHD)自体の血行動態的特異性の理解とに体外循環という非生理的環境下での病態の理解が必要とされる. 当大学では年間約80例前後の小児開心術を行っている. この10年の間により幼少, より複雑心奇形へとその適応は拡大したが成績はその外科的修復の困難さや合併する術前よりの循環や呼吸不全状態で一概に良好とはいえない. |