Abstract | 「要旨」輸血の弊害を防ぐ目的から近年, 無血充填体外循環・無輸血開心術が一般化してきた. 一方, 開心術後の機械的人工呼吸はもはやルーチン化したものとなったが, 過剰な鎮静を見直す向きもあり, 早期抜管を積極的に取り入れる施設も増えてきた. しかし, それらの多くは成人か年長児を対象としたもので, 適応や安全性の面から乳幼児の無血・早期抜管に触れた研究は少ない. 都立清瀬小児病院では早くからこの問題に取り組み, 今回, 過去4年間の先天性心疾患症例をレトロスペクティブに検討し, おおよその適応を考察した. 即ち, ASD, VSDで2歳・9kg以上, 体外循環時間140分未満の症例は無血・手術室抜管が考慮できる. 体外循環開始時点の計算上Hctは低くても, 限外濾過回路の併設で最低Hct 15%(Hb 5.09/dl)以上を維持できれば無血の達成が可能となる. また, 抜管の可否に関しては術前の肺・体動脈圧比が0.45を越える症例は呼吸管理としたほうが無難であろう. 肺動脈および左房が小児の気道に影響を及ぼしていた場合も肺動脈圧に拘らず, 抜管には慎重でありたい. 無血・早期抜管群に合併症はなく, 貧血, 腎機能低下, 呼吸循環動態の悪化などは見られず, 安全性についてもほぼ満足できるものと考えられた. |