Abstract | 「はじめに」徐脈性不整脈の治療は, まず他の不整脈の治療と同様に, その原因の有無, その原因の性質により選択される. 原因が除去可能であれば, まず原因の除去が行われるべきであろう. また, その原因が薬物によりコントロールされ安いか否か, 一時的か慢性的かによっても治療法が選択される. 現在では, ペースメーカ療法が確立してきたため, 薬物療法はその効果の不安定性と副作用出現の可能性から好まれず, 多くの場合ペースメーカ療法が主体となっている. しかしながら, 一時的な徐脈や治療を緊急的に必要とする場合には, 経静脈的に薬物を投与し, 緊急ペーシングまでのつなぎとしたり, またごく一時的な場合は, 薬物療法のみで充分な治療ともなり得る. また, 慢性的な徐脈であってもペースメーカ植え込みを好まない患者や, 症状の無い徐脈に対しては, 薬物療法が考慮される. しかしながら, 頻脈性不整脈に対する抗不整脈剤の開発進歩に対し, 徐脈に対する, 薬物は限られていると言わざるをえない. しかし, これら古典的な薬剤も緊急時には必要なものであり, その作用と副作用, 適切な使用法を理解しておく必要がある. さらに, 特殊な状況下では, 選択すべき薬物も異なってくる. これら徐脈性不整脈に対する薬物療法について自験例を含め概説する. |