Abstract | 「1. はじめに」Na+, K+-ATPaseは動物細胞膜に普遍的に存在する酵素であり, Naポンプとして働くことにより細胞内外のNa+, K+濃度勾配の維持など細胞機能にとり基本的な役割を果たしている. Na+, K+-ATPaseの構成要素であるα鎖の細胞膜外側にはジギタリスなどの強心配糖体に対する特異的かつ高親和性の結合部位が備わっている. この受容体に結合し, Na+, K+-ATPase活性を抑制的に調節していると考えられている生体内物質がEDLFである. 食塩あるいは鉱質コルチコイドを長期投与した際, 一時的に体液, Na貯留が派生するが, 4〜6日でNa利尿を生じ, いわゆるエスケープ現象により体液貯留は是正される. その機序は, Na排泄に関わるGFR・アルドステロンの第一, 第二因子のみでは説明できないため第三のNa利尿因子が存在する可能性が古くより示唆されてきた. そして, その候補物質として, プロスタグランジン・カリクレイン・キニン系, ANF, CGRPなど多くの脈管作動物質が挙げられてきたが, いずれも単独では第三因子足りえず, 更に未知のNa利尿因子としてEDLSが探索されてきた. |