Abstract | 「はじめに」心不全の薬物治療には, 強心効果を有するジギタリス製剤, およびカテコラミン製剤のほか, 減負荷効果を有する利尿薬や, アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬, 硝酸薬などの血管拡張薬が一般に使用されている. このうち, 血管拡張薬, 特にACE阻害薬では慢性心不全患者における生命予後の改善が報告されている1),2)が, 心筋の収縮力を高めるためには強心効果を有する薬剤が必要である. しかし, 強心作用を有するジギタリスは催不整脈作用や消化器症状などの副作用が多く, 治療域も狭いという難点があり, また, カテコラミン製剤は催不整脈作用, 心拍数上昇, あるいは末梢血管収縮などの欠点がある. そこで, 近年ジギタリスに変わる経口可能な強心薬の開発が要望されてきた. 今回, 厚生省で認可されたpimobendan(アカルディ(R))は, 心筋収縮蛋白のCa2+感受性増強作用を有するcalcium sensitizerで, エネルギー消費の増大を伴わずに心筋収縮力を増すため, 急性効果のみでなく長期投与に対しても有用な薬剤と考えられ, 新しい経口抗心不全薬として注目されている. そこで, 1994年9月にphosphodiesterase-III阻害作用(PDE-III阻害作用)を有するcalcium sensitizerとして初めて発売されたpimobendan(アカルディ(R):日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社)についてその特徴を述べる. |