Abstract | 「はじめに」麻酔薬を初めとする中枢神経作動薬は脳循環・代謝に何等かの影響を及ぼす. 近年ではそれらの影響を, 脳全体に及ぼす影響を検討するのではなく, 脳の部位毎, 即ち局所に及ぼす影響を検討する方向で研究が進んでいる. この目的に合致した手段として, 動物実験においては, 既にautoradiography(AG)法が確立されており, 局所脳血流量(local cerebral blood flow, lCBF)や局所脳ブドウ糖消費量(local cerebral metabolic rate of glucose, lCMRglu)の測定に用いられている. 麻酔薬のCBFに及ぼす影響についても, 例えば吸入麻酔薬であるハロタンとイソフルランのCBFに及ぼす影響を検討した場合, 全脳でのCBFを測定した場合は, 両者の影響に差はないが, lCBFを測定した場合は, ハロタンとイソフルランでその影響は部位により大いに異なるといったことがAG法を用いて証明されている1). しかし, AG法はすばらしい空間分解能を有する反面, 動物を犠牲にして脳を摘出する, トレーサに放射性物質を用いる, 結果を得るまでに大変な手間と時間を要するといった欠点をもつ. |