Abstract | 「はじめに」内皮依存性血管弛緩因子(Endothelium-Derived Relaxing Factor;EDRF)の主体である一酸化窒素(NO)は, L-arginineのグアニジド基と酸素からNO合成酵素(NOS)の作用により生成される(図1). NO合成酵素には3種類のNOSイソフォーム, すなわち神経型cNOS, 内皮型cNOS, マクロファージ型iNOSが現在までに知られており, その量と活性によりNO産生は制御されると考えられている. マクロファージ型などの誘導型(inducible)NOSはサイトカインなどにより酵素量自体が大きく変動するのに対し, 神経型や内皮型NOSは構成的(constitutive)に存在して通常は酵素量自体はあまり大きくは変動しない. 血流のずり応力(shear stress)やエストロゲンに応答した発現1)やプロテインキナーゼAによる酵素分子のリン酸化による制御2)の報告もあるが, 構成型NOSの活性制御は主に細胞内Ca2+による. 内皮型cNOSはヘム結合部位とともにカルモデュリン(CaM), FMN, FAD, NADPH結合部位を有しており, その活性は細胞内のCa2+(Ca2+/CaM)の結合により制御される. |