Abstract | 「緒言」心機能評価法としての心臓潅流モデルの歴史は古く, 1895年にLangendorffが大動脈に逆行性に潅流した1)ことに始まる. さらに, 1967年Neelyらにより左房より順行性に潅流を行ういわゆる“Working Heart”モデルが作成された2). Langendorff法に比して, (1)順行的な潅流がより生理的であること(2)電気的ペーシングを行わなくても生理的心拍数を維持できること(3)心拍出量が直接測定できること(4)前後負荷を自由に変化させ潅流の条件を種々に変えうること等により種々の研究に広く用いられている. さらに, 右心系の評価および左心のみの潅流による心室中隔の偏位による心拍出の不正確さを補うため, 両心房にカニュレーションして潅流したいわゆる“biventricular working heart”も行われるようになってきた3). 麻酔科領域においても各種麻酔薬による心機能評価や循環系作動薬の直接の心機能への影響等の研究に使用されてきている. 本稿では, 我々の知見を中心に, 吸入麻酔薬による心機能評価, 吸入麻酔薬の細胞内カルシウム変動に及ぼす効果, および虚血再潅流障害に対する吸入麻酔薬の効果について述べる. |