Abstract | 「緒言」われわれは, 全身麻酔薬が容量血管系に与える影響を調べるために, 二つの実験を行った. 一つは, 3種類(ハロタン, イソフルラン, セボフルラン)の全身麻酔薬が容量血管系に及ぼす影響をみた実験である. もう一つは, 3種類の濃度(0.5MAC, 1.0MAC, 1.5MAC)のイソフルラン麻酔が容量血管系に及ぼす影響をみた実験である. この「特集」において, まず容量血管系とくに平均循環充満圧の基本的な考え方を説明する. そして, われわれの実験結果をもとに, 全身麻酔薬が容量血管系に与える影響を考えてみたい. 「平均循環充満圧の意義」Guytonは平均循環充満圧mean circulatory filling pressure(以下MCFP)を「脈管内の圧力がすべての場所で等しくなるように循環血液量を分配したときの内圧」と定義した1). MCFPは心機能の影響を受けることなく, 容量血管全体の性質を表すことができる. MCFPと中心静脈圧central venous pressure(以下CVP)との差はpressure gradient for venous return(以下PGVR)と呼ばれる. |