Japanese
Title循環系の種族発生と進化
Subtitle巻頭言
Authors谷口興一
Authors(kana)
Organization群馬県立循環器病センター
Journal循環制御
Volume19
Number2
Page153-153
Year/Month1998/
Article報告
Publisher日本循環制御医学会
Abstract古生物学によると, 約4億年前の古生代末期に脊椎動物が海から上陸を敢行し, 陸上で棲息を始めたが, その一部は再び海へ還っていった. 陸に留まって水棲動物から陸棲動物へ変容していく脊椎動物の悠久の歴史は, 古生代から中世代を経て新生代に至る形象変化の経緯であり, それは想像を絶するものであったに相違ない. なかでも水中における鰓呼吸から空気中における肺呼吸への進化は, 単式循環から複式循環への変革, 右心から左心の分離, 及び静脈から動脈の新生という瞳目に値する形象変化をもたらしたのである. 陸棲動物の受精卵は古い故郷の海が忘れられず, 受精直後は恰も鰓呼吸の胚子の如く成長を始めるが, 鶏の胚子は孵卵4日から5日に至る僅か24時間足らずで, 人間は受胎32日から約1週間で, あの古生代の1億年をかけた上陸史を走馬灯のごとく再現するという. 即ち, 鰓の血管が消えて, 代わりに肺の血管が形成されて肺循環ができるのである.
Practice基礎医学・関連科学
Keywords

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